弁護士の満村です。

皆さまは、2023年5月に公布されたフリーランス保護新法をご存じでしょうか?

正式名称は、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」です。

この法律、2024年秋頃までに施行予定となっております。

その名の通り、これまで弱い立場に置かれがちであったフリーランスと、フリーランスに仕事を発注する事業者との間の関係性を調整・適正化するための法律ですね。

ですので、フリーランスの方だけでなく、働くほとんどの人が直面する可能性のある法律です。

以下、制定の背景から見ていきましょう!

目次

フリーランス保護新法が制定された背景

これまで日本では、企業による雇用を前提として、労働・雇用・社会保障に関するルール作りが進んできました。

例えば、解雇規制だったり、残業の規制だったり。

他方で、雇用関係にならないフリーランスは、必要な保護を受けられないままに不利な立場に置かれがちでした

2020年に行われたフリーランスの現状把握に関する調査では、フリーランスの5割超が取引先とのトラブルの経験があると回答しました。
トラブルに至らない場合でも、フリーランスの6割は取引先から業務に関する書面の交付がないか、あった場合にも内容が不十分であると感じているとのことです。

また、事業者から業務委託を受けるフリーランスの4割もの人が特定の1社のみと取引している現状から、発注者への依存度が高く、トラブルにあってもなかなか解決に至ることは難しい状況でした。

しかし、コロナ禍を経て、テレワークが増え、PCひとつでできる仕事も増え、フリーランス的な働き方が浸透し、今後、確実にフリーランス人口の増加が見込まれていました。

そのようにして、いよいよ、フリーランスを保護するルール作りが急務となってきていたわけです。

フリーランス保護新法の内容

この法律では、フリーランスのことを「特定受託事業者」と定義しましたが、分かりにくいので本記事では「フリーランス」でいきます。

簡潔に説明すると、本法律の決めたことは以下の通りです。

①書面等による取引条件の明示 (契約書が必須!)
②報酬支払期日の設定・期日内の支払
③禁止事項  
 a フリーランスの責めに帰すべき事由なく、
   成果物の受領を拒否すること  
   報酬を減額すること   
   返品を行うこと  
 b 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること  
 c 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること  
 d 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること  
 e フリーランスの責めに帰すべき事由なく発注内容を変更させ又はやり直させること
④ 募集情報の的確表示
⑤ 育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ ハラスメント対策に係る体制整備
⑦ 中途解除等の事前予告

罰則

フリーランスに業務を委託する事業者がフリーランス保護新法に違反すると、公正取引委員会ならびに中小企業庁長官または厚生労働大臣により、助言や指導、報告徴収・立入検査などが行われます(履行確保措置)。

また、命令違反および検査拒否などがあれば、50万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。

また、フリーランス保護新法における50万円の罰金には法人両罰規定です。
発注した事業者が違反行為を行えば、違反者当人だけではなく、事業主も罰則の対象となります。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか?

これからこの法律の施行によって、フリーランスの方々の処遇が徐々に改善される可能性が高いですが、かといって、すぐに事業者・企業側がこれに順応するかというとそうもいかないとも言えます。


フリーランスの方々は、この法律の中身をさらによく知って自らの利益を守ってください。 自分一人では不安な場合は、我々専門家に頼っていただければと思います。

事業者・企業側の皆様も、フリーランスの方への業務の発注について、新たに契約書を作成することが必要ですから、我々にご相談いただければと思います。
私の法律事務所では、顧問契約いただいている企業様には、メルマガにおいて新法対応の業務委託契約書ひな型を提供する運びですが、顧問契約がない企業様もご相談いただければ契約書作成のお手伝いをさせていただきます。

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