弁護士みつむらの法律blog

大阪の弁護士です。ネット関連の法律問題(誹謗中傷・知的財産等)や労働関係の法律問題についての発信をしています。

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弁護士の満村です!

ネットの利用が拡大するにあたって増えている問題として著作権の問題があります。

伝統的には著作権は大型紛争(映画、有名な絵画、人気キャラクター等を巡る盗作、無断転載など)が主流で、これらを通じて裁判例も蓄積されてきたという印象ですが、最近はネットの広がりの中で必然的に小型紛争が日々発生しているという分野になってきています(勿論、弁護士を利用するほどの案件は多くないと思いますが)。

実は、著作権法ふくむ知的財産法は司法試験の選択科目(他には、倒産法、税法等)なのですが、選択科目であるがゆえに知的財産法についてあまり知識の無い弁護士はけっこういます(ちなみに私は知的財産法選択でした)。

で、弁護士でもそうですから当然法律家でない方の知識レベルも高いとは言えず、それ故、あまりよくわからない中で「著作権侵害だ!」と言ってみたり、実は他人の著作権を侵害しているコンテンツを知らず知らずのうちに享受してしまったりしています。

そんなこんなで、著作権についての発信をしようと思うわけですが、今回はTwitterにおける「ツイート」にまつわる著作権侵害について書いていきたいと思います。

“人のツイートを拡散したらその投稿者の著作権を侵害するか”ということが議論の対象です。

場合分けして、
①リツイート
②ツイートのスクショ等を添付してのツイート
③パクツイ(他人の投稿内容を自分の投稿として発信する行為)
を見ていきます。


1 著作物性

著作権侵害が認められるためには、大前提として、対象のコンテンツが法的に「著作物」と認められる必要があります。

この「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています(著作権法第2条1項1号)。

ただ、これだと少しわかりにくいので、「その人の個性が現れている表現行為」くらいに考えてもいいと思います(多少法的な厳密さは失われますが)。

では、ツイートのような単なる文章が著作物性を持つことはあるのでしょうか。

掲示板への書き込みを書籍に収録したことが問題となった東京高判平成14年10月29日によると、「著作物性が認められるための創作性の要件は厳格に解釈すべきではなく,むしろ,表現者の個性が何らかの形で発揮されていれば足りるという程度に,緩やかに解釈し,具体的な著作物性の判断に当たっては,決まり文句による時候のあいさつなど,創作性がないことが明らかである場合を除いては,著作物性を認める方向で判断するのが相当である。」と著作物性は緩やかに理解されています。

ツイートも単なる事実を述べたものや単なる挨拶のようなものではなく、その人の個性が現れたようなものであれば著作物性が認められるでしょう。
例えば、「今人気のカレーのお店に行ってきました!」くらいでは単に事実の報告であって著作物にはならないかと思いますが、そのカレーを自分なりにレビューするなどひと手間加われば著作物性が認められうるツイートになります。

2 著作権侵害

では、著作権を侵害するというのはどういう状態のことを言うのでしょう。

ここが著作権法の難しいところですが、著作物性が認められるとその著作物にはいろいろな権利が発生し、これらをまとめて著作権や著作者人格権などと言うことになります。
単に「著作権侵害だ!」と言っても、著作権法を知っている人からすると、「なに権について言っているんだこの人は・・・?」と悩むことになります。

全てを紹介できないので、ここではネットにおけるツイートの利用に関係しそうな公衆送信権複製権、氏名表示権を取り扱います。

公衆送信権・・・著作物をネットなどで公衆に対して送信し多くの人が見られるようにする権利

複製権・・・著作物を様々な媒体でコピーする権利

氏名表示権・・・自分の著作物を公表する時に、著作者名を表示するかしないか、表示するとすれば実名とするか変名とするかを決定する権利(著作者人格権)

名前の通りなので案外権利の中身は分かりやすいですね。
 (ちなみに、これら以外にも、音楽を演奏する権利、演劇を上演する権利、彫刻などを展示する権利なんかもあるんですよ。)

そして、①~③どれであっても、他人の著作物たるツイートをネットを使って公衆に送信し、また、同じ内容のツイートを自分のアカウント上に別途表示させているわけですからコピーしていることになります(①リツイートについては、全く同じツイートのTwitter上での表示させ方を変えるだけだという考え方から公衆送信権と複製権侵害を否定する向きがありますが分かりやすさの為ここでは捨象させてください)。

それでは、①~③は全てツイートをした人の上記権利を侵害することになってしまいそうですね。
ただし、これは法律の基本的な考え方の現れと言えますが、「本人が承諾しているならいいじゃない」という法理が適用されます。でも、「おれは承諾してないよ!」と言えば承諾していないことになるのか?
以下、Twitterの利用規約を見てみます。

Twitterの利用規約はいちいち長くてなんだかよく分からないと思った人も多いかと思いますが、
まず、
“ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社があらゆる媒体または配信方法を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、・・・配信するための、世界的かつ非独占的ライセンスを当社に対し無償で許諾することになります。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。”(一部省略)
と書いています。
「え、じゃあ使い放題?」と思われた方もいるかもしれないのですが、利用規約にはさらに、
“ユーザーは、本サービスまたは本サービス上のコンテンツの複製、修正、・・・、または他の形での使用を望む場合には、Twitterサービス、本規約・・・に定める条件により認められる場合を除いて、当社が提供するインターフェースおよび手順を使用しなければなりません。”(一部省略)
と書いており、
「Twitter社が認める方法で使えよ」と読めます。
なので、Twitter上で明確に認められている「①リツイート」は既に投稿者の承諾を得ていてるのでOKになります。

なぜこれが認められているかを実質面で考察するとすれば、ツイートをその状態のまま表示させるのであれば誰が書いたものか分かるそのツイートが拡散されれば多くの場合投稿者にとってプラスになるそもそもその投稿者はツイートという形式で世界中に向けて自ら発信している、といったことが言えます。
そうだとすると、「②ツイートのスクショを添付してのツイート」も、だれの投稿か分かるし、その投稿者が発信したままの状態で拡散するというもので、いわゆる引用リツイートとほぼ同じですからOKと考えることができます。

しかし、この考えには落とし穴が無いわけではありません。
この②では、スクショ画像が改変されている可能性がある投稿者本人がツイートを消した場合にも拡散することができるのでその場合明らかに投稿者の意思に反する拡散になってしまう引用リツイートと違って見た人が元ツイートにワンクリックで容易にたどり着けるものでないため投稿者の利益とはなりにくい(むしろ晒されるだけになってしまう)等の問題があり、やはり引用リツイートとは性質が異なるため、Twitter社がこれを明確に禁止する可能性や裁判所が違法認定する可能性も無くは無いと思います。

Twitter社が明確に禁止しなくても、やはり「あまりしない方がいいこと」と言えるかもしれません。

これは難しい議論で、今後考え方は流動していきそうですが、このような著作権法について考える材料が少し提供できたのであれば幸いです。


あ、忘れていましたが、「③パクツイ」がありましたね。

言うまでもなくアウトです。

完全な盗用なので、利用規約により承諾が得られているものとも考え難く、他人の投稿から他人の名前を削って自分の投稿のように発信するものなので明らかに氏名表示権を侵害します。

バズっている投稿を見て、「あ、私もこれをやれば注目されるかも」と考えてしまうのは分からなくもないですが、やめた方が無難です。
「少し表現を変えればいいのか?」という疑問も湧くところですが、それについてはまた機会があれば記事にできればなと思います。

今回の記事は以上です。
もし著作権についての法律相談がありましたら受け付けておりますので、ご連絡ください。
場合によっては、削除請求や損害賠償請求が考えられますし、逆にそれらの請求を受けてしまったということもあり得ます。
ご相談はmitsumura@vflaw.netまで。

メールでの簡単な相談は無料でやっております。具体的な検討に入る場合には有料相談(30分3000円)とさせていただいております。電話やZoom等でも対応していますよ。
また、自分やそのご家族など当事者としての相談に限定させていただいておりますので、「自分には関係ないけどこれってどうなの?」などという相談は申し訳ありませんがお断りさせていただいております。

ではでは!

こんにちは!
弁護士の満村です。


前回の記事で、ネット上の名誉棄損・侮辱行為がどの程度ならアウトなのか(損害賠償請求が認められてしまうか)ということを書きました。

今回は、この記事を踏まえて、ネット上での色々な発言を想定して、
個人的にアウト・セーフを検討していこうと思います。


①「芸能人Wが不倫しまくってるらしい。おれもトイレ入っていくの見たわ(電子掲示板にて)


タイムリーな話題について、これはどうでしょう。

まず、世間からの好感度を売りにしている芸能人の不倫を摘示するのは、明らかにその人の社会的評価を低下させますよね。

しかし、名誉棄損は、
「公共の利害に関する事実」を
「公益目的」で摘示する場合には例外的に違法性が無いとされる
んでしたよね。

芸能人のスキャンダルはどうでしょう。

たしかに「影響力のある人が不道徳な不倫をやっているということは国民にとって重大事であり、公共性がある」という意見もあるかもしれません。

ただ、基本的には芸能人は公人ではなく、言うなれば「有名な私人」なので、その人の私生活がだめだめでも、これを暴くことが公共性を持つということはないと考えるのが主流でしょう。

よって、違法性が無いとされることはなく、名誉棄損が成立します。


ただし、一般の人が芸能人のスキャンダルに触れるのは、週刊誌等にすっぱ抜かれてその事実が公になった後ですよね。
日本中誰でも知っているような事実を、さらに言ったところで、その人の社会的評価の低下はかなり限定的です。

結局のところ、我々が週刊誌のすっぱ抜いた事実について発言する限りでは、あまりにひどいことや嘘を言わない限りは、普通は名誉毀損にはならないでしょうね。

②「アンパンマソっていう奴さっきからうるさいけど、こいつ人殺したことあるんだぞ。(電子掲示板にて)」

「こいつ人殺したことある。」は、特に嘘であれば、かなり悪質な名誉棄損ですよね。
実際のところ本当であっても、証拠を握っているわけでもない状況ではデマと扱われるでしょう。

ただ、ここで問題が、「アンパンマソ」という名前の人がいるわけはありません。
ネット上のハンドルネーム、アカウント名と言うことですよね。

ってことは、実在の被害者がいない以上、名誉棄損は成立しえないでしょうか。

この「アンパンマソ」というアカウントが有名で、中の人の本名をけっこうみんな知っているというのであれば、被害者は特定されますから、名誉棄損は中の人について成立します。

また、例えば、中の人が「アンパンマソ」という名前を使ってブログなどしていて、
ネット上ではそれなりの有名人であれば、本名を知られてなくても名誉棄損が認められることがあります。
ネットにおけるその人の活動に社会的評価が十分認められるので保護しないといけないということですね。

③「A子は性格ブス。人格破綻者。(Twitter上にて)」


これは一方的な暴言のようですが、名誉棄損になるのでしょうか。

前回の記事では、発言者の単なる評価に過ぎない暴言については、名誉棄損は認められにくく、それがあまりに悪質なものであるときに侮辱行為として損害賠償請求が認められると説明したと思います。

上の発言は何も具体的な事実を摘示するものではないですが、
他方で、「あほ」「くそ」とかと比べれば、「A子さんは性格がとても悪いのだろう」と周りに思わせるのに十分な発言のようにも思われます。

で、これを名誉棄損とした裁判例はあります。

しかし、やはり、単なる一方的な評価ではないかと批判もあるところです。

むしろ、原理原則からすれば、名誉棄損とするには少々無理があると思います。

ただし、これが執拗に繰り返されていれば、名誉毀損にも侮辱行為にもなり得ますね。

④「X店の出しているメシは本当にまずい。(飲食店口コミサイトにて)」

食べログとかのサイトで、店の味をマイナスに評価すると名誉棄損となってしまうのでしょうか。

「まずい」とか「高い」というのは事実ともとれますが、基本的には個人の評価と考えられます。

そして、飲食店にとって、ご飯がまずいというのは評価低下につながりますが、常識的な批評であれば本来飲食店は批評を受けて然るべき立場ですし、問題ないでしょう。


また、少々表現が酷くて名誉毀損になりそうでも、公共性が認められるかという問題があります。

実際食べに行った人の飲食店の味の評価をネット上で確認できるのは非常にありがたいことですよね。

そういうことで、「店舗の関係者、周辺に在住する顧客等との間では(マイナスの口コミは)公共の利害に関するもの」とした裁判例があります。

常識的な範囲内で店の味をマイナスに評価することは名誉棄損にならないでしょう。


以上、飲食店のマイナスの口コミは名誉棄損にならないケースがほとんどと言えますが、
表現には気を付けた方がいいです。

「あまりよろしくないですね」「おいしくはないかな」
くらいなら大丈夫ですが、

「くそまずい!やめてしまえ!」「げろの味がする」
なんてものは批評の域を出た発言であり、名誉棄損になる可能性は上がるでしょう。

また、嘘で、「ゴキブリが入っていた」
なんてものもアウトです。

⑤「X社の社長はコロナにかかったらしい(Twitterにて)」

実際にこのような情報が流され(嘘なのに)、会社の取引先が撤退していき、業績が悪化した社長の話をテレビで見ました。

このような実害が現に発生していますし、明らかに社会的評価を下げるものと言えます。

デマであれば完全にアウトですし、感染した確証もなく発言するのであれば、本当のことかもしれなくてもアウトでしょう。

ただ、本当のことである確証がある場合はどうでしょう。

これもまた、公共性の問題になりますが、Twitterで、社長と直接の関係のない不特定多数に感染の事実を発信することには公益的な意義はないので、公共性は否定されるのではないかと思います。

⑥まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

前回の記事と併せて見ていただければ大体感覚は掴んでいただけたのではないかなと思います。

くれぐれも誹謗中傷の加害者にならないように気をつけながらも、ネットライフを楽しんでいただけたらと思います!

また、現在、ネットでの誹謗中傷の被害に遭われた方の相談を受けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
mitsumura@vflaw.net

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