こんにちは!
弁護士の満村です。

皆さん、残業代請求権についてどれくらい知っていますか?
いま会社で働かれている方や少し前まで働いていたという方にはぜひ知っておいて欲しいのがこの残業代請求権です。

「そんなにいっぱい働いているわけでもないし、周りの同僚も何も言ってないし、残業代なんて無いでしょー」と思われている方も多いかと思いますが、会社の時間管理の不徹底等によって実は未払い残業代が発生しているなんてことは意外に多いです

また、「固定残業代」を払われている場合でも、
実際の残業代が固定残業代を超えているケースもよくあり、その場合は、差額を会社に請求することができます。

残業代をどうやって計算するか、についてはまた別の記事で紹介しますが、今回は、残業代請求権の消滅時効期間が延長された、ということを紹介していきます。

①どれだけ延長される? 

今までの残業代請求権の消滅時効期間は2年間でした(労働基準法第115条)。

しかし、これが「労働基準法の一部を改正する法律(令和二年法律第十三号)」によって、
3年間」に延長されました。

さらに、この3年間というのは経過措置で、最終的には「5年間」に延長されることになります。

「残業代請求権の消滅時効期間が延長されて何がいいの?」と思われるかもしれませんが、
これまで、残業代を請求していく段階で2年以上前に働いた分の残業代は消滅してしまっていました。

これが、3年、5年と延長されていくと、当然、増えた分だけ請求額が増加することになります

ちなみに、これまでの労働基準法では、残業代請求権を含む賃金請求権の消滅時効の起算日が不明確となっていたので、これを「賃金支払日」と定めました。

ということは、今後は、「本来その残業代が支払われるべきだった日」から3年間は(将来的には5年間)その請求権は消滅しないということになります。

②いつから延長される? 

この改正法が施行されたのは令和2年4月1日です(「施行」=「法令が現実に効力を発した日」)。

よって、令和2年4月1日までに支払日が来ている残業代については、残念ながら旧法適用で、消滅時効期間は2年になります。

そして、令和2年4月1日以降に支払日が来る残業代については、新法適用で、消滅時効期間は3年となります。

「消滅時効期間が5年間になるのはいつなの?」ということについては、まだ正確な予測ができませんが、
改正労働基準法附則第3条に「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、 その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とあるので、
5年後以降にさらなる延長の検討がなされることになるでしょう。

いかがでしたでしょうか。残業代請求権については今後も取り上げていこうと思います。

この記事を見て、「実は自分にも未払い残業代があるのでは」と思われた方、一度、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。かなり大きな額が請求できるかもしれません。

残業代に関する相談は下記メールアドレスまで☟
mitsumura@vflaw.net

それではまた!