弁護士の満村です!

ネットにおける消費者被害の解説記事第2弾です。
つい最近も、とある界隈では有名なナントカ社長さんが高額情報商材を売り出したことが物議を醸していましたね。

あくまでも一般論ですが、情報商材の危険性の一つに、お金を支払ってから中身を見るまでその商品の質があまりよく分からない、ということがあるでしょう。
甘い宣伝文句で疲れた心に火をつけられたその時は夢中でお金を支払ってしまうのですが、いざ中身を見てみると「使い古されたビジネスノウハウだった」「こんなことで何かが変わるわけない」といった悲劇に気づきます。

今回は、そんな情報商材販売からさらにマルチ商法に引き込む比較的新しいマルチのやり方を紹介し、特定商取引法にも触れたいと思います。

この「比較的新しいマルチ」というのは「後出しマルチ」というやつです。
今回の事例は前回の記事の事例の続きになります。前回の記事をご覧になっていない方はぜひご覧ください(短い記事です)。



事例
Youtube運用についてのDVDをXから100万円で購入したYは、早とちりで会社も辞めてしまった上に、そのDVDがゴミ商材だったことに気づく。
焦ったYはXに連絡し、「これではさすがに稼げないでしょ!貯金もほとんどないし、会社も辞めたし、どうすればいいんですか!」と泣きついた。
するとXは、「いやいや、Yさん。大丈夫です。そのDVDを次はYさんが他の人にいっぱい売ればいいんですよ。売ったお金の半分はYさんのものになります。実際のところYoutubeをやるより稼げますよ。頑張ってください。」と言ってきた。
俄然燃えてきたYは昔の知り合いに連絡を取り始めた・・・。


これが後出しマルチです。
最初は自分にとって有益な商材だと思わせて買わせるものの、ゴミだと気づいた後マルチ商法に転じるというものです。 
もしこれが、特定商取引法にいう「連鎖販売取引」に当たるのであれば、クーリングオフや中途解除をできるわけですが、後出しマルチは、連鎖販売取引に必要となる「特定利益を収受し得ることをもって誘引」という要件に基本的に該当しないことになります。
この要件に該当するためには、例えば、当初からXがYさんに「DVDを購入する人を1人紹介するごとに、紹介手数料として5万円があなたに支給されますよ」等と誘い、DVDを購入させることが必要とされるのです。
しかし、この事例では、最初はYさん自身の啓発の為にYさんはDVDを購入したのでした。

特定商取引法の適用が無ければ、前回の記事で説明したように、①不実告知や②断定的判断の提供があったとして消費者契約法により当初のDVD販売契約の取消しを主張することになるでしょう(残念ながらこれら要件を充たさないという事例も多くあるでしょう)。また、この場合、商材の内容の誤認に気づいた時から1年間の期間制限がありますので、連鎖販売に巻き込まれている頃にはこれも不可ということになりかねません。
どれだけ早く冷静になれるのかの勝負かもしれませんね。。



情報商材は、それによって大きな学びを得られたという人もいるかとは思いますが、他方で大きな危険の入り口でもありえます。
最近では、それほど高額ではない商材を買ったところ、すぐに「プレミアムプラン」みたいな高額サービスを勧められ、結局多額の金銭を支払わされるという事例も耳にします。
そもそも安価な最初の商品・サービスではあまり得られるものは無く、初めから「プレミアムプラン」みたいな上位サービスを受けることが前提とされているのであれば、宣伝・勧誘の仕方次第では詐欺にすらなり得るでしょう。

何にしても、いつの時代も詐欺師はいますし、やり手の起業家等の皮を被った詐欺師もいます。

また、そもそも情報商材って必要ですか?
教材を買って、よくわからないワークショップを受けている時間に、今いる職場でめちゃくちゃ頑張って、場合によっては先輩にも教えを請いながら、目に見える結果を出すことが一番効率的な自己啓発ではないでしょうか。


今回は以上です。
消費者トラブルに巻き込まれているかも?と思われたら、まず弁護士に相談してみるのもいいと思います。

メールでの簡単な相談は無料で受け付けています(踏み込んだ具体的な相談になる段階では有料相談とさせていただいております。情報商材屋さんではないので、知らないうちに有料になっていた、みたいなことはないのでご安心ください)。
mitsumura@vflaw.netまで。

ではでは