弁護士みつむらの法律blog

大阪の弁護士です。ネット関連の法律問題(誹謗中傷・知的財産等)や遺産相続関係、労働関係の法律問題についての発信をしています。

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弁護士の満村です。

おそらくこの記事を見ていただいている方の中で、ステマを知らない方はいないのではないでしょうか?

ステルスマーケティング(ステマ)とは、一般的に、消費者に広告・宣伝と気付かれないように行われる広告・宣伝行為のことをいうとされています。

古くは、誰もが知っているような芸能人がこのステマの実行役になっていたこともありますし、最近で言うと、インフルエンサーと呼ばれる方々のちょっとした収入源かもしれません。

このステマが、令和5年10月1日から明確に景品表示法違反となりました。

消費者庁もサイト内で呼びかけています☟
令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。(消費者庁HP)

ステマ規制に違反するということは、後で詳しく説明しますが、景表法5条3号に違反するということになりますので、消費者庁等による、措置命令(景表法7条)や、措置命令に違反した場合の刑事罰(景表法36条等)の対象とされています。

では、以下の目次の通り、まずはステマの現在と歴史から見ていきましょうか。

目次

  1. ステマの現在と歴史
  2. なぜ景品表示法違反なのか
  3. 事業者・インフルエンサー向け対応策
  4. まとめ

ステマの現在と歴史

とある企業が消費者庁の委託を受けて実施した調査で、SNSのフォロワー数が50万人未満のインフルエンサー300人に回答を求めたところ、全体のおよそ4割にあたる123人が、「広告主からステマの依頼を持ちかけられた経験がある」と回答し、さらに、ステマの依頼にどう対応したか尋ねたところ、55人が、「すべて受けた」か「一部、受けたことがある」と答え、全体の2割近くがステマを行っていたことがわかったというものがあるそうです。(「ステマ」規制へ “インフルエンサー 2割近く行う”結果も(NHK) )


では、過去を振り返ってみましょう。
一つ目に取り上げるのは、芸能人によって行われた、ペニーオークション詐欺事件に関するステマです。

ペニーオークション詐欺事件とは、運営会社が入札しても落札できない仕組みのペニーオークションサイトを用いて入札者から手数料をだまし取ったとされる詐欺事件で、 そのオークションサイトは「入札すればするほど運営会社に手数料が入る」システムになっており、運営会社は架空の会員名義による入札を繰り返し価格を不当に吊り上げ、入札者がなかなか落札できないように細工を行っていたとされています。 また、家宅捜索の結果、そもそも商品のほとんどを仕入れた形跡がなく、最初から入札者に商品を販売する意思がなかったことが発覚したとされ、サイトの運営者は詐欺罪で懲役3年、執行猶予5年の判決を受けました。
このペニーオークションサイトの運営会社は複数の芸能人に広告・宣伝を依頼し、高額な商品を格安で落札することができるように見せかける宣伝を行っていました。

芸能人らは自身のブログに、運営会社からの依頼であることを隠して、「オークションサイトで商品を安く落札できた!」などとあたかも高額商品を格安で落札できたかのような文章を書き込んでいました。

次に、女子アナによるステマ疑惑事件も有名かと思います。
東京キー局女子アナたちが、芸能人御用達の人気美容室に通い、ヘアカットだけでなく、その系列店でもネイルやマツエクなどの施術を無料で提供してもらっており、その見返りに、店の看板の前で撮影するなどして、来店したことをインスタグラムなどのSNSで公開していました。

どちらの事件も日本社会で大きく物議を醸しました。

なぜ景品表示法違反なのか

ところで、なぜステマはいけないか聞かれたら、どのように答えますか?

一般的には以下のことが言えるでしょう。

消費者心理としては、ある表示が事業者自身による広告だと分かっていれば、
「少し誇張した内容になっているのではないか」
「商品のいいところしか書いていないのではないか」
などと、警戒し、慎重になると思います。

しかしながら、これを好きな芸能人やインフルエンサーなどの「商品を売る立場にない人」が、第三者的立場から使用感をレビューしていたりすれば、「これなら怪しくないかも・・・?」という消費者心理が働いてしまいます。

しかし、蓋を開けたら大したことない商品を倍の値段で買わされていたりするわけです。
事業者にとっては美味しい話ですが、消費者にとっては軽い詐欺にあっているような感じです。

こういう弊害がありますから、EUやアメリカなどの海外ではステルスマーケティングを規制する法律がすでに存在する一方で、日本では直接ステルスマーケティングを規制する法律がなく、業界団体からも「業界の自主規制には限界がある」などとして、規制を求める声があがっていました。


では、なぜ、景品表示法違反なのでしょうか?

景表法では、「商品及び役務の取引に関連する不当な……表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的」として(景表法1条)、事業者の消費者に対する表示(広告)行為を以下のとおり規制しています(景表法5条各号)。

① 優良誤認表示(景表法5条1号)

商品・サービスの品質その他の内容について実際よりも著しく優良であると誤認させる表示
② 有利誤認表示(景表法5条2号)
商品・サービスの価格その他の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると誤認させる表示
③ 指定告示(景表法5条3号)
商品・サービスの取引に関する事項について消費者に誤認され、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある、内閣総理大臣が指定する表示

このうち、③指定告示は、①優良誤認表示や②有利誤認表示には当たらない不当な表示について、内閣総理大臣が指定することによって、景表法の規制を及ぼすことができるという規制です。
今回のステマ規制は、この告示という方法によって行われており、まさに、この景表法5条3号に基づき、規制がされたということになります。 告示の内容は次の章で解説します。

事業者・インフルエンサー向け対応策

上記の通り、今回のステマ規制は、ステマは景品表示法で規制される「指定告示」に入りますよと内閣総理大臣が指定して告示したと簡単に言えばそういうことです。

では、その告示の内容を簡単に言うと、 ステマを「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」と定義しますよ、というものです。

これも「で?どういうこと?」となると思いますが、これを全て説明するには極めて長くなるので、気になる方はこちらの「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)をチェックしてください。

時間が無くてチェックできない方も以下の通り、気を付けるべき要点をおさえておいてください。

まずは、「広告」、「PR」等と、広告であることが分かる文字を分かりやすく表示することが何よりも重要です。

インフルエンサー等が事業者から依頼される場合には、広告であることの表示が非常に小さい、たくさんのハッシュタグに紛れ込ませている、動画上に一瞬だけ表示させる、なども規制対象になり得ることに注意が必要です。

また、事業者が、広告を明示的に依頼・指示していないという場合でも、言外に商品を売り込ませる動機を与えていた等の場合にもステマ規制が適用される可能性があります。

また、事業者内の広報の担当者等一定の立場の従業員等が行う表示が、事業者が自ら行う表示と判断され、ステマ規制が適用される可能性もあります。
しかし、このような表示は事業者の預かり知らないところで行われる可能性があります。
そこで、従業員等のSNS利用のルールを策定して、そのような事態を予防することが考えられます。

まとめ

いかがでしょうか?

現状、それなりの数のステルスマーケティングが横行しているかもしれませんが、まずは皆が新しく規制があったことを知り、そして、規制の内容を正しく把握していただくことが重要です。


本テーマのようなSNSマーケティング等のトラブル、著作権やネット上の誹謗中傷トラブル等でお困りの方は、ご相談をお受けいたします(30分5500円税込み)。
また、当事務所では複数の弁護士が在籍しており、遺産相続、不動産、労働事件等幅広い分野に対応しております。
お問い合わせは、弁護士法人長堀橋フィル( k-mitsumura@nflaw.jp or 06-6786-8924 )まで!

弁護士の満村です。

今回は「偽造開示請求」について。実際のご依頼を参考に書きます。

ネット関連のご相談を日々受けていますが、その多くは発信者情報開示請求に関する相談です。
むやみやたらと発信者情報開示請求をすることについての批判的意見がネット上を飛び交うこともありますが、多くの請求は少なくとも認められる余地のある妥当なものです。
しかし、法的に認められる余地のない投稿について、脅しや威嚇目的で発信者情報開示請求をすることは、倫理的に問題があるばかりか、プロバイダ責任制限法4条1項2号の「発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき」をまず充たさない法に反した請求ということになります。

つい最近ご依頼を受けた件で次のような「トンデモ」請求がありました。

請求者が実際の投稿に酷い文章を付け加えるという偽造を行ったうえでの発信者情報開示請求でした
これを本記事では「偽造開示請求」と命名して書いていきます。

依頼者様の承諾を得ましたので、以下ではブログ記事用に具体的事実を脚色して事案の内容を紹介すると共に、対処法等を書いていこうと思います。

1 事案
佐々木さん(仮名)は、ある日YouTubeで、特定の芸能人Aをやたらとこき下ろすような動画を見て、気分を害し、「そのような動画を上げるのはやめた方が良い」というコメントをしました。
すると、投稿者から「つまらんコメントしてくんなよ。お前非表示にするな。」と返信が来て、そのコメントは見れなくなってしまいました。

「このまま放っておいて、Aに対する根拠ないアンチ意見だけ残るのは良くない。」と思った佐々木さんは、その動画の概要欄に書いてあったその動画投稿者のブログと思われるサイトに移り、そのブログの記事に、「Aを根拠なくこき下ろすのはよくない。YouTubeもやめた方が良い。」とコメントしました。
すると、後日、契約するプロバイダから意見照会書が佐々木さんの自宅に届きました(意見照会書=発信者情報開示請求がなされたとき、請求を受けたプロバイダから投稿者に意見を求める書面 発信者情報開示請求=あるネット上の投稿をした者の個人情報取得を目指した請求)。

その意見照会書の内容は驚くべきものでした。佐々木さんのした投稿は、
「Aを根拠なくこき下ろすのはよくない。YouTubeもやめた方が良い。あと、お前殺しに行くからな。覚悟して待ってろよ。お前は死んだ方がいいんだから。」という内容になっていました。太字部分が付け加えられています。
慌てて佐々木さんは弁護士に相談しました。

2 どう対処する?
私は、このような偽造開示請求の相談を受けたのは初めてでしたが、このような請求はこれまでにも無かったわけでもないようです。

ポイントは「ブログにコメントしたこと」です。
ブログによっては、ブログ管理人が閲覧者ののコメントを勝手に編集することができるのでこのようなことが起こるということだと考えられます。

本当にとんでもない請求です。この請求自体、不法行為と言ってもいいと思います。

では、どのような反論をすればいいのでしょうか?

実際にした反論を紹介します(意見照会書に対する回答書における反論)。

(1)実際にコメントの偽造ができるのか検証してみた
ご依頼を受けてから、その請求者の使っていた無料ブログで新たにブログを開設しました。
意見照会書を見れば、請求対象の投稿がなされたページのURLが載っていますから、それで請求者の使っている無料ブログが判明しました。

そして、記事を作り、別端末からコメントを書き込みました。

管理者アカウントでコメントを見ると、コメントの下部に「編集」というボタンがありました(左下矢印部分)。

最新

何とこの「編集」を押すとコメントの編集ができてしまいます。

これによって、コメントの偽造が可能になるのでしょう。
これら偽造に至る一連の操作を証拠化して、容易にコメントの偽造ができることを証明することにしました。


(2)同様の被害者との協力
本件では、たまたま同じ請求者から同じ被害を受けている方を見つけられました。
その方と連絡を取り、互いに「陳述書」を作成しました。
要は、別の方も同じ被害に遭っていることを書き記した書面を作成し、証拠にしました。

このようなケースでは、同じ被害が複数発生しているというのは、自分の反論に説得力を付与する心強い事実になります。

(3)当初の投稿の調査をプロバイダに促す
プロバイダは自らを媒介として行われたネット上の通信を管理しているわけですから、この偽造されたコメントの当初の内容の調査が可能でしょう。
この調査を十分にしてほしい旨念押しで主張しました。

3 注意喚起
事案の内容や実際にした対処法は以上のような感じです。

先にも述べましたが、このような偽造開示請求は大問題であり、不法行為にも該当しうる行為と思われます。
カッとなったとしてもやっていい行為ではありません。

また、他者のブログに攻撃的なコメントをするのもやめるべきでしょう。
コメントを偽造できる場合があることを知ってください。

実際に、偽造開示請求に遭ってしまった場合には、弁護士に相談することをお勧めします。


この問題に限らず、ネット上のトラブルについてのご相談を広くお受けしていますので、mitsumura@vflaw.net まで気軽にご相談ください。

ではでは!








こんにちは!
弁護士の満村です。

今回は、どのような行為がセクハラ・パワハラになるのかについて書いていきたいと思います。
慰謝料相場や証拠収集についても書いています。

「もしかしたら、職場でされている行為はセクハラorパワハラかもしれない?」と思われている方に読んでいただきたい記事です。 

セクハラ・パワハラの定義について

案外、多くの人はセクハラもパワハラも大雑把に何となく理解しているだけで、どのような場合にこれらに該当するのか厳密に考えたことはないかもしれません。

また、近年は「〇〇ハラ」などと色んなハラスメントが生まれてきているので、余計に判断が難しいですよね。
そこで、法律上のこれらの定義を見ていきましょう。

セクシュアルハラスメント
とは、
職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの、又は、当該性的な言動により、労働者の就業環境が害されるものと定義されます(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第11条1項)。 

パワーハラスメント
とは、
職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものと定義されます(労働施策総合推進法第30条の2第1項)。

そして、それぞれ、このようなことが起こらないよう、会社には必要な防止措置をとることが義務付けられているのです。

勿論、これらに該当しない場合でも、いじめ・いやがらせ等違法な行為があれば法的な責任追及が可能なのですが、これらに該当すると、
①明示的に禁止された行為なので違法性が認められやすい
②防止できなかった会社の責任も追及しやすい

という意味があると思われます。

以下では、ハラスメントについて簡潔に説明していきます。
目次で大きく項目を分けているので、ご自身の興味関心に応じて適宜スキップしていただければと思います。



セクハラについて

(1)「職場」でなければセクハラでは無いのか?

「職場」の範囲は必ずしも物理的な仕事場に限定されるものではありません。

平成28年7月20日名古屋高裁判決では、同じ職場の従業員(加害者)が、被害者に対して、
 ①就業時間中に近くに来て繰り返し交際を申し込む
 ②就業時間外に被害者宅に押しかけ、面会を求める
 ③被害者退職後も、複数回、被害者宅近くに長時間自動車を停車させる
という行為に及んだことなどがセクハラと認められました。

仕事と直接関係なさそうな②と③もセクハラと認められたのは、裁判所が、物理的な「職場」を超えて、「職場」で働くことをきっかけとして行われた性的嫌がらせもセクハラと認めたということが言えますね。
例えば、仕事後の飲み会でされた性的嫌がらせであっても、セクハラと認められることは大いにあり得ますよ。

(2)同性間でのセクハラも認められるのか。

認められます。

平成28年11月29日千葉地裁松戸支部判決では、大学講師である被害者(男性)が、受け持つクラスの男子生徒から、その臀部を触られるなどしたことについて、「精神的衝撃は決して小さなものではない」などとして不法行為が認められました。

この裁判例からは、同性間のセクハラも成立するという他にも、セクハラには地位の上下は関係ないということも分かりますね。

(3)1回のセクハラでアウト?

相手の意に反する身体的接触を受け、被害者が強い精神的苦痛を受けた場合では、1回でも就業環境を害すると判断され、セクハラに該当します。

(4)加害者にしか慰謝料請求ができないのか。

会社への請求も認められます。

上述しましたが、会社には、セクハラが起こらないように必要な措置をとることが義務付けられています。
何の対策も取らず、漫然とこれを放置していたような場合には会社にも慰謝料請求できることになります。
例えば、
 就業規則にハラスメントの禁止や対処方針等が何も規定されていない
 ハラスメントの相談窓口がない
 窓口や上司にセクハラの相談をしたがまともに対応してもらえなかった
などの場合には会社にも責任が生じる場合があるということです。

パワハラについて

(1)「職場」でなければセクハラでは無いのか?

「職場」の範囲は必ずしも物理的な仕事場に限定されるものではありません。

平成28年12月20日東京地裁判決では、被害者が加害者である上司から、勤務時間外の飲み会において、鼻の頭にたばこの火を押し付けられたり、カラオケ店のマイクで殴打されるという暴行を受けたことについて、いじめ・パワハラであり不法行為を構成すると判断しました。

「職場」といっても、物理的な仕事場所のみに限定するものでないことが分かります。

(2)使用者や上司からの行為に限定されるのか?

パワハラは、「優越的な関係を背景とした言動」と定義されています。
しかし、それは使用者や上司の言動には必ずしも限定されません。

厚労省のパワハラ指針によると、優越的な関係については、
 ①職務上の地位が上位の者による場合
 ②自身が同僚又は部下である場合
 ③同僚又は部下からの集団による場合
が例示されており、使用者や上司によるものに限定していません。

その上で、同指針では、「優越的な関係」とは、労働者(被害者)になされた言動に対して、抵抗又は拒絶できない蓋然性が高い関係を指すものと説明されています。

3)1回のパワハラでアウト?

言動の頻度と継続性は考慮されますが、強い身体・精神的苦痛を与える態様の言動の場合は1回でも就業環境を害する場合があり得ると理解されています。

たった一度の行為でも、度が過ぎればパワハラとして違法行為となってしまうわけです。

(4)加害者にしか慰謝料請求ができないのか。

会社への請求も認められます。

上述しましたが、会社には、パワハラが起こらないように必要な措置をとることが義務付けられています。
何の対策も取らず、漫然とこれを放置していたような場合には会社にも慰謝料請求できることになります。
例えば、就業規則にハラスメントの禁止や対処方針等が何も規定されていない、ハラスメントの相談窓口がない、窓口や上司にパワハラの相談をしたがまともに対応してもらえなかった、などの場合には会社にも責任が生じる場合があるということです。


慰謝料相場について

数十万円から100万円程度が相場と言えるでしょう。
特にひどい場合には、100万円を超えることもあります。

優越的関係の程度、頻度・期間、退職にまで至っているか、うつ病等を発症しているか、複数人からによるものかどうか等により慰謝料額は増額する傾向にあります。
セクハラの場合には特に性交渉を強要するにまで至っているか等、性への干渉の程度が当然増額原因になります。


被害に遭ったときの証拠収集について

ハラスメントは密室で行われることも多く、証拠が残っていないこともよくあるのですが、それでは慰謝料請求ができなくなってしまう恐れもあります。そこで、以下のような証拠をとっておくといいでしょう。

 ①LINEやメールなどの履歴(スクショしておくとなお良し)
 ②証人になってくれる第三者
 ③医師の診断書(治療費請求のため領収書も大事)
 ④防犯カメラなどの映像記録
 ⑤被害直後のメモなどの記述
 ⑥録音記録

 ②について
責任追及する段階になってから証人になってくれるような人を探しても中々見つからないことが多いです。
ハラスメントの実情を知っているのは会社内部の人のみであることは多いですが、会社内部の人は会社からお金を貰って働いている手前、中々会社に不利なことを言ってくれません。
被害を受けたタイミングで、会社外の人に相談しておくといったことは一つの手です。

 ③について
ハラスメントがきっかけで心身に不調が出たら、すぐに病院にかかることも重要です。
その時点でのハラスメントの事実が立証しやすいですし、ハラスメントと認められれば治療費も請求できます。




以上、セクハラ・パワハラについて解説しました。

もし、この記事を読んでいただいた方の中で、実際に被害に悩んでいる方がおられれば一度ご相談ください。
メール、電話、Zoom等でも相談受け付けます。最初の連絡はこちらまで
mitsumura@vflaw.net

ではでは。

弁護士の満村です。

以前から総務省において、「発信者情報開示請求制度」の簡易・迅速化の議論がなされてきました。

そして、令和2年11月12日に行われた「発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回)」において最終とりまとめ(案)が出されました。現在、意見公募中です。

案なので当然ここに書かれていることが全て制度化するわけではありませんが、おそらく書かれている内容の一部について制度化が行われるでしょう。

と、いうことで、今回は取り急ぎその内容を簡潔に書きたいと思います。あまり案ごとの場合分けを重ねて分かりにくくなるのも嫌なので、メインの部分の解説とします。以下で解説する内容はおそらく制度化されるんだろうなあと思われるものです。

1.開示対象情報の拡大

まず、令和2年8月にすでに省令が改正され、開示対象となる発信者情報の中に「電話番号」が含まれました。
積み残しとして議論の対象となっていたのが「ログイン時情報」です。
ブログにしてもSNSにしても、ほとんどのコンテンツで、IDとパスワードを打ち込みログインします。
そのログインのときにネットへの通信が発生するので、その通信に関するIPアドレス等も開示対象とするというものです。

権利侵害を発生させているのはあくまで個別の記事やツイートなどですから、その投稿の通信に関するIPアドレス等が出れば足りるのですが、それが消去されているなどして残っていないとき用ということです。
問題の投稿は結構前になされている。でもログインはこれまで定期的にされている。という場合に有効です。

ただ、この投稿をしたのと、このログインをしたのが別人だったらどうするの?という疑問もありますので、双方の関連性を要求するなど何らかの限定を付すことが適当であるとされています。
公募された意見も踏まえて最終的に詰めるのでしょう。

2.新たな裁判手続きの創設等

ここが議論の本丸でしょう。
以下、Twitter等のコンテンツプロバイダをCP、OCN等のアクセスプロバイダをAPとします。
今までは、
CPへの仮処分→APへの本案訴訟→発信者への損害賠償請求訴訟等
と、時間とお金をかけて3段階の措置をとらなければなりませんでしたが、
最終案では、
裁判所への開示命令申立→発信者への損害賠償請求訴訟等
と、かなり簡単な非訟手続のみで発信者情報を開示することを想定しています。
 ※非訟手続き=裁判所が当事者の主張に拘束されず、その裁量によって将来に向かって法律関係を形成する手続。

この最終案においては、最初はCPに開示命令申立の通知がいくのですが、CPがこれに対して発信者の使っているAPを特定し、そのAPにIPアドレスやタイムスタンプといった発信者の発信の形跡を提供し、APが発信者の氏名住所等を割り出し、開示命令がなされればそれに応じて情報を開示するという流れを想定しています。

もっとも、これでは、「発信者の意見はどうなるの??」となりますよね。
この点、開示命令申立を受けてプロバイダは、従前の通り発信者に意見照会を行い、その意見を考慮することになりそうです。

そして、最終的に裁判所が開示相当と判断し、開示命令がされれば、プロバイダは開示命令に応じるか、異議申し立てを行うかの判断をすることになります。
異議申し立てがなされればAPへの訴訟手続に移行します。

この異議申立権を発信者にも付与するなどの意見もあったのですが、最終的にそれは採用されなさそうです。
この点、「制度的には異議申立てについては直接の当事者であるプロバイダが最終的に決定すべき事項ではあるものの、発信者から非訟手続における開示決定に対して異議申立てを希望する意向が示された場合には、プロバイダは可能な限り発信者の意向を尊重した上で、個別の事案に応じた総合的な判断により異議申立ての要否を検討することが望ましいと考えられる」とされています。

3.任意開示の促進
このような裁判手続のみならず、当事者間における任意の開示の促進も重要と位置付けられています。

この点、「権利侵害が明らかである場合には、プロバイダが迷うことなく開示の判断を行いやすくする観点から、例えば、要件該当性の判断に資するために、プロバイダにアドバイスを行う民間相談機関の充実や、裁判手続において要件に該当すると判断された事例等をガイドラインにおいて集積するなどの取組が有効であると考えられる」とされています。

4.雑感
ネットの誹謗中傷における権利救済が前進した点、大変喜ばしいことです。
もっとも、発信者情報の開示手続がかなりスムーズになる一方で、当然、発信者側のストレスは増えることになりそうです。
適切な制度利用を呼び掛けると同時に、濫用的利用の抑制は課題となってくるでしょう。

また、損害額についてですが、発信者の特定までに使う弁護士費用は抑えられることになるでしょうから、最終的な損害賠償請求額はおのずと抑えられることになります(というより、これまで高額な特定費用を発信者が押し付けられるという状態がどうも苦々しく思わざるを得ないものでした)。

あとは最終的な制度化を待ちましょう。適宜情報発信をしていきます。

また、現在ネット上の誹謗中傷についての相談をお受けしています。
mitsumura@vflaw.net
までご連絡ください。

では!




弁護士の満村です!

前回の記事では残業代請求の基礎知識や具体的な準備について書きましたが、


今回は、休日や深夜に出勤した場合の給料について簡潔に書きます。

① 休日手当
休日出勤をした場合に支払われる給料は「休日手当」ということになり、通常の給料の1.35倍となります。

ただ、「自分の会社は週休2日だから、土日両方出勤でもしたらものすごい手当が出るのか」と思われた方、ちょっと注意しなければならないことがあります。

ここでいう「休日」というのは、労働基準法35条1項で定められた「法定休日」のことで、これは週1日とされているんです。
あなたの休日が2日であるのは、会社がそう定めてくれているというだけです。

なので、週休2日のあなたが週7日出勤したとしたら、「休日手当」として割増賃金になるのは1日分だけです。

ただ、法律で「休日」と扱われない休日の出勤であっても、その週に40時間以上働いている場合はその出勤は残業扱いとなるので1.25倍の割増賃金になりますよ。
なぜか分からない人は前回の記事も見てみてください。

②深夜労働
午後10時から午前5時までの時間帯に働いていれば、「深夜労働」として、その間の給料は1.25倍となります。

また、深夜労働が残業としてなされた場合(例えば、午前10時から午後11時まで働いたときの最後の1時間)は、残業の割増と深夜労働の割増の足し算として扱われます。
両方25%の割増なので、50%の割増となり、通常の給料の1.5倍で計算します。

また、「休日」に出勤して、それが深夜労働になれば、35%+25%=60%の割増になります。

③大企業の場合の特別手当
あなたの勤める会社が一定の大企業の場合には、残業が月60時間を超えれば1.25倍ではなく1.5倍で残業代を計算することとされています(労働基準法37条1項但書)。

なぜ大企業だけかというと、このルールは現在のところ、労働基準法138条に言う「中小事業主」を除外することとされているからです。
この除外ルールは令和5年4月1日から廃止され、中小事業主も1.5倍ルールに従うことになります。

④まとめ
以上、いかがでしたでしょうか?

そうです。割増賃金の計算は非常に難しいです笑

自分でペンと紙とタイムカードを用意しただけではかなり時間と労力を使う必要があるでしょう。
ただ、前回の記事とこの記事で書いたことを参考にして概算だけでもしてみるのはありです。
思いのほか、未払いの残業代などが見つかるかもしれません。

分からないこと追加で聞きたいという要望があれば、
mitsumura@vflaw.netまでお問い合わせ下さい。

可能な限り質問に答えたいと思います。

ではでは!














 

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