弁護士みつむらの法律blog

大阪の弁護士です。ネット関連の法律問題(誹謗中傷・知的財産等)や労働関係の法律問題についての発信をしています。

カテゴリ: ネットトラブル

弁護士の満村です!

ネットにおける消費者被害の解説記事第2弾です。
つい最近も、とある界隈では有名なナントカ社長さんが高額情報商材を売り出したことが物議を醸していましたね。

あくまでも一般論ですが、情報商材の危険性の一つに、お金を支払ってから中身を見るまでその商品の質があまりよく分からない、ということがあるでしょう。
甘い宣伝文句で疲れた心に火をつけられたその時は夢中でお金を支払ってしまうのですが、いざ中身を見てみると「使い古されたビジネスノウハウだった」「こんなことで何かが変わるわけない」といった悲劇に気づきます。

今回は、そんな情報商材販売からさらにマルチ商法に引き込む比較的新しいマルチのやり方を紹介し、特定商取引法にも触れたいと思います。

この「比較的新しいマルチ」というのは「後出しマルチ」というやつです。
今回の事例は前回の記事の事例の続きになります。前回の記事をご覧になっていない方はぜひご覧ください(短い記事です)。



事例
Youtube運用についてのDVDをXから100万円で購入したYは、早とちりで会社も辞めてしまった上に、そのDVDがゴミ商材だったことに気づく。
焦ったYはXに連絡し、「これではさすがに稼げないでしょ!貯金もほとんどないし、会社も辞めたし、どうすればいいんですか!」と泣きついた。
するとXは、「いやいや、Yさん。大丈夫です。そのDVDを次はYさんが他の人にいっぱい売ればいいんですよ。売ったお金の半分はYさんのものになります。実際のところYoutubeをやるより稼げますよ。頑張ってください。」と言ってきた。
俄然燃えてきたYは昔の知り合いに連絡を取り始めた・・・。


これが後出しマルチです。
最初は自分にとって有益な商材だと思わせて買わせるものの、ゴミだと気づいた後マルチ商法に転じるというものです。 
もしこれが、特定商取引法にいう「連鎖販売取引」に当たるのであれば、クーリングオフや中途解除をできるわけですが、後出しマルチは、連鎖販売取引に必要となる「特定利益を収受し得ることをもって誘引」という要件に基本的に該当しないことになります。
この要件に該当するためには、例えば、当初からXがYさんに「DVDを購入する人を1人紹介するごとに、紹介手数料として5万円があなたに支給されますよ」等と誘い、DVDを購入させることが必要とされるのです。
しかし、この事例では、最初はYさん自身の啓発の為にYさんはDVDを購入したのでした。

特定商取引法の適用が無ければ、前回の記事で説明したように、①不実告知や②断定的判断の提供があったとして消費者契約法により当初のDVD販売契約の取消しを主張することになるでしょう(残念ながらこれら要件を充たさないという事例も多くあるでしょう)。また、この場合、商材の内容の誤認に気づいた時から1年間の期間制限がありますので、連鎖販売に巻き込まれている頃にはこれも不可ということになりかねません。
どれだけ早く冷静になれるのかの勝負かもしれませんね。。



情報商材は、それによって大きな学びを得られたという人もいるかとは思いますが、他方で大きな危険の入り口でもありえます。
最近では、それほど高額ではない商材を買ったところ、すぐに「プレミアムプラン」みたいな高額サービスを勧められ、結局多額の金銭を支払わされるという事例も耳にします。
そもそも安価な最初の商品・サービスではあまり得られるものは無く、初めから「プレミアムプラン」みたいな上位サービスを受けることが前提とされているのであれば、宣伝・勧誘の仕方次第では詐欺にすらなり得るでしょう。

何にしても、いつの時代も詐欺師はいますし、やり手の起業家等の皮を被った詐欺師もいます。

また、そもそも情報商材って必要ですか?
教材を買って、よくわからないワークショップを受けている時間に、今いる職場でめちゃくちゃ頑張って、場合によっては先輩にも教えを請いながら、目に見える結果を出すことが一番効率的な自己啓発ではないでしょうか。


今回は以上です。
消費者トラブルに巻き込まれているかも?と思われたら、まず弁護士に相談してみるのもいいと思います。

メールでの簡単な相談は無料で受け付けています(踏み込んだ具体的な相談になる段階では有料相談とさせていただいております。情報商材屋さんではないので、知らないうちに有料になっていた、みたいなことはないのでご安心ください)。
mitsumura@vflaw.netまで。

ではでは

弁護士の満村です!

今回は主にネットにおける消費者被害についての解説記事第1弾です。
前から記事で扱いたかった分野です。

中身は無いのに外身だけ華やかで、それでいて「人より秀でよう、得をしよう」という人間が個人的にすごく苦手です(自分はその逆の聖人君主のような人間とは決して言えませんが・・・)。

しかしながら、社会がどんどんネット化していくにあたって、「本当は中身は空っぽだが、なんか凄そうな人」に商機が到来しています。
対面しないので「中身が見えにくい」からです。

そしてそういう人ほど「おれは多数派には理解されないよ、だけど一部の分かる人には分かるんだ」と言います。
昔はそれではなかなかビジネスになりませんでしたが、今や皆がネットを使っているので、少数派の支持でも十分お金になるんですね。
で、その「少数派」というのは「一部の優秀な人材」ではなくて、情弱とか心が疲れた人であることが多いです。

さらに腹立たしいのは、詐欺に近いこと(たまには本当に詐欺)をしていながら、成功者を名乗ってたりすることです。そういう人たちの半分近くは本当に自分に商才があって成功していると思い込んでいることでしょう。

・・・と前置きはこの辺にして、法律の解説をしていきます。
今回は典型的な情報商材被害についてです。

事例
とある情報商材屋Xは、SNSで「薄給の会社員だったぼくが月収30万円達成!再現性100%!Youtube完全攻略!」としてDVDを売っていた。
しがない会社員Yさんはこれを転機と思い、Xに連絡を取った。
すると、Xから「だれでも絶対に月収30万円は稼げます!Youtubeは今きてますから!」と勧誘を受けた。
完全に有頂天となったYはそのDVDを100万円で購入した。早とちりで会社も辞めてしまった。
後日送られてきたそのDVDを見ると、2、3年前にはすでにネットで公開されていたような古びたYoutubeのチャンネル運営方法が解説されているだけで、激戦区となった今のYoutube市場で戦えるものでは到底なかった。

なんだかよく見る触れ込みなのではないでしょうか。
このような場合にまず適用を考えるのは消費者契約法です。

消費者契約法では、契約を締結する前に、事業者が消費者に①不実告知した場合(4条1項1号)、②断定的判断の提供をした場合(4条1項2号)に、その契約の取消しをすることを認めています。

①不実告知とは、重要事項について事実と異なることを告げることです。

Yさんは、DVDを見て学べば月収30万円を得られると思ったからこそ商材を買ったので、この点はXとの契約における「重要事項」です。

また、DVDの内容は今では再現性の無いもので、月収30万円など無理なものであったのですから、事実と異なると認められうるでしょう。

②断定的判断の提供とは、消費者にとって契約の目的である利益が得られるか不確実なものなのに、それを確実なものと断定することです。

XのDVDを見ても月収30万円を得ることは不確実どころか無理だったわけですが、これが仮に決して無理ではないが10人に1人くらいしか再現できないものであったとしても、Xはこれを確実なものとして売り込んでいるので断定的判断の提供とも言えます。


よって、この事例の場合は、YさんはXとの契約を消費者契約法により取り消すことができ、100万円を返金してもらうことができます。


ここで、Yさんは、Xから直接の勧誘を受けておらず、ただSNSでの広告のみを見て商材の購入に至った場合はどうなるでしょうか。

消費者契約法4条1項は、「勧誘」をその要件にしています。
この「勧誘」に不特定多数に向けた広告は含まれないという理解がむしろ一般的でした。

しかし、最判平成29年1月24日によれば、「事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできない。」とされました。
この考え方はそのまま4条1項にも使えると思われます。

そして、全ての広告が「勧誘」に当たるとされたわけではないですが、どういう商品か消費者が具体的に想定できるものであればあるほど、この「勧誘」にあたる可能性は高いといえます。
よって、本事例が広告のみのケースであっても取消しの可能性は十分あるでしょう。

そして、可能性がある以上、商材屋は訴えられたり、悪評判を流されたりするのが嫌なので、すんなり話し合いの中で返金に応じたりします。


期間制限
もっとも、この取消権は、商材の内容について誤認があったことに気づいてから1年以内という期間制限があります。
「だめだめな情報商材だった!だまされた!」と思ったら早めに自分で対応するか、弁護士に相談するかをしてください。



今の時代、本当の成功者の秀逸なビジネススキルの情報が本屋さんで2000円もせずに買えます。Youtubeの始め方とか、登録者の伸ばし方とかネットで無料で公開されていたりもしますよね。
情報商材屋さんもそのようなビジネス書とかの知識を寄せ集めて、あたかも自分が発明したような顔で売っていることが多いと思います。
そんなもんです。

このような消費者被害についての相談を受けていますので、被害を受けた方は一度、mitsumura@vflaw.netまでご連絡ください。

このシリーズはまた続きを書いていくつもりです!次は新手のマルチ商法についての記事を出そうかな。。
では!!

弁護士の満村です。

以前から総務省において、「発信者情報開示請求制度」の簡易・迅速化の議論がなされてきました。

そして、令和2年11月12日に行われた「発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回)」において最終とりまとめ(案)が出されました。現在、意見公募中です。

案なので当然ここに書かれていることが全て制度化するわけではありませんが、おそらく書かれている内容の一部について制度化が行われるでしょう。

と、いうことで、今回は取り急ぎその内容を簡潔に書きたいと思います。あまり案ごとの場合分けを重ねて分かりにくくなるのも嫌なので、メインの部分の解説とします。以下で解説する内容はおそらく制度化されるんだろうなあと思われるものです。

1.開示対象情報の拡大

まず、令和2年8月にすでに省令が改正され、開示対象となる発信者情報の中に「電話番号」が含まれました。
積み残しとして議論の対象となっていたのが「ログイン時情報」です。
ブログにしてもSNSにしても、ほとんどのコンテンツで、IDとパスワードを打ち込みログインします。
そのログインのときにネットへの通信が発生するので、その通信に関するIPアドレス等も開示対象とするというものです。

権利侵害を発生させているのはあくまで個別の記事やツイートなどですから、その投稿の通信に関するIPアドレス等が出れば足りるのですが、それが消去されているなどして残っていないとき用ということです。
問題の投稿は結構前になされている。でもログインはこれまで定期的にされている。という場合に有効です。

ただ、この投稿をしたのと、このログインをしたのが別人だったらどうするの?という疑問もありますので、双方の関連性を要求するなど何らかの限定を付すことが適当であるとされています。
公募された意見も踏まえて最終的に詰めるのでしょう。

2.新たな裁判手続きの創設等

ここが議論の本丸でしょう。
以下、Twitter等のコンテンツプロバイダをCP、OCN等のアクセスプロバイダをAPとします。
今までは、
CPへの仮処分→APへの本案訴訟→発信者への損害賠償請求訴訟等
と、時間とお金をかけて3段階の措置をとらなければなりませんでしたが、
最終案では、
裁判所への開示命令申立→発信者への損害賠償請求訴訟等
と、かなり簡単な非訟手続のみで発信者情報を開示することを想定しています。
 ※非訟手続き=裁判所が当事者の主張に拘束されず、その裁量によって将来に向かって法律関係を形成する手続。

この最終案においては、最初はCPに開示命令申立の通知がいくのですが、CPがこれに対して発信者の使っているAPを特定し、そのAPにIPアドレスやタイムスタンプといった発信者の発信の形跡を提供し、APが発信者の氏名住所等を割り出し、開示命令がなされればそれに応じて情報を開示するという流れを想定しています。

もっとも、これでは、「発信者の意見はどうなるの??」となりますよね。
この点、開示命令申立を受けてプロバイダは、従前の通り発信者に意見照会を行い、その意見を考慮することになりそうです。

そして、最終的に裁判所が開示相当と判断し、開示命令がされれば、プロバイダは開示命令に応じるか、異議申し立てを行うかの判断をすることになります。
異議申し立てがなされればAPへの訴訟手続に移行します。

この異議申立権を発信者にも付与するなどの意見もあったのですが、最終的にそれは採用されなさそうです。
この点、「制度的には異議申立てについては直接の当事者であるプロバイダが最終的に決定すべき事項ではあるものの、発信者から非訟手続における開示決定に対して異議申立てを希望する意向が示された場合には、プロバイダは可能な限り発信者の意向を尊重した上で、個別の事案に応じた総合的な判断により異議申立ての要否を検討することが望ましいと考えられる」とされています。

3.任意開示の促進
このような裁判手続のみならず、当事者間における任意の開示の促進も重要と位置付けられています。

この点、「権利侵害が明らかである場合には、プロバイダが迷うことなく開示の判断を行いやすくする観点から、例えば、要件該当性の判断に資するために、プロバイダにアドバイスを行う民間相談機関の充実や、裁判手続において要件に該当すると判断された事例等をガイドラインにおいて集積するなどの取組が有効であると考えられる」とされています。

4.雑感
ネットの誹謗中傷における権利救済が前進した点、大変喜ばしいことです。
もっとも、発信者情報の開示手続がかなりスムーズになる一方で、当然、発信者側のストレスは増えることになりそうです。
適切な制度利用を呼び掛けると同時に、濫用的利用の抑制は課題となってくるでしょう。

また、損害額についてですが、発信者の特定までに使う弁護士費用は抑えられることになるでしょうから、最終的な損害賠償請求額はおのずと抑えられることになります(というより、これまで高額な特定費用を発信者が押し付けられるという状態がどうも苦々しく思わざるを得ないものでした)。

あとは最終的な制度化を待ちましょう。適宜情報発信をしていきます。

また、現在ネット上の誹謗中傷についての相談をお受けしています。
mitsumura@vflaw.net
までご連絡ください。

では!




弁護士の満村です!

最近では、発信者情報開示請求が飛び交っており、もはやそれを傍観する人も「なんと人の個人情報の儚いことか」と、個人情報の重みの低下を主観的に感じとってしまっているかもしれません。

しかし、そんなことはありません。
デジタルタトゥーという言葉もある時代、個人情報の重みはむしろどんどん増しているはずです。

今回は、発信者情報開示請求訴訟において、個人情報の重みを軽視してしまった人の裁判例を紹介します。開示を受ける「正当な理由」が否定され、請求棄却となりました。
東京地方裁判所 平成25年04月19日判決です。 

1 事案の概要

 2ちゃんねるでなされた投稿が、原告の人格権ないし著作権を侵害したとして、原告が、被告(プロバイダ)に対し、氏名不詳者の発信者情報である氏名又は名称、住所、電子メールアドレスの開示を求めた事案。  
本件に関して、権利侵害を主張する原告はあろうことか自身のブログに以下の記事を掲載しました。

(ア) 氏名住所が分かり次第、弁護士とは別に探偵や興信所があなたの全てを調べます。家族構成、勤め先、学校、資産背景など調査します。   
(イ) 卑怯な小心者は、表舞台に引きずり出して、晒し者にして差し上げますよ。どんな奴か皆で拝見しましょうね。   
(ウ) プロバイダー全社の開示請求終了  実名が公に公表されてもプライバシーの侵害にはあたりませんよ。   
(エ) 月末までの告知が過ぎたので、今月から本格的に次のステージに進みます。バーチャルな世界で特定した人を集中的に攻撃していた方達が、今度は現実の世界では自分たちが今度は追いつめられて行く訳だ。それも一人ずつジワリジワリと、私のネット専門の代理人が追い詰めて行く。私だったら毎日落ち着いて寝る事もできないかもしれないね。家族がいれば、その不安が倍以上になってしまうだろう。   
(オ) あなたは喧嘩する相手を間違えてしまいましたね。昔、私が狩猟をしていた時の「イノシシ狩り」にこの作業は似ていると思った。   ・・・   さあ、次のステージは「ショータイム」になりそうですね。不動産投資業界に、あなたを知る人が大勢いるでしょうね。全てを暴露して差し上げますよwww   
(カ) 先月一杯までは、私には名前を知らせず、弁護士側だけで処理するはずだった。それに従っていれば穏便に済ませて、名前も世間に公表されなかったのにね。   

これについて指摘を受けた原告は、裁判の中で弁解として、平成25年1月21日付の陳述書を提出。
その中で、  
(ア) 私に対する書き込みに、私や家族は長年苦しめられてきました。ですので、発信者に対し法的措置を執ることを決めた際、やっとこのような理不尽な仕打ちに対抗することができる、と嬉しくなりました。   
(イ) その勢いとお酒も手伝って、発信者をさらし者にするとか、今回の訴訟をイノシシ狩りにたとえるようなブログ記事を書いてしまいましたが、もちろん違法なことをするつもりはまったくありません。発信者や発信者の家族の生命に危害を及ぼすこともありませんし、発信者をさらし者にしたり、家族や職場に対する嫌がらせなんてしません。   


このような弁解をしたにもかかわらず、原告は、平成25年2月9日、「ネットの世界だけで好き放題言っていた小心者のグズ奴らが誰なのか、名前が公開される時が来ました!昨年の8月から結構時間が掛かったのは、奴らグルになって証拠資料を集め、言い逃れをしてジタバタしてたので時間が掛かりました。ここからが本番で、全ての首謀者達を公開します!お楽しみに!」という内容のブログ記事等をさらに掲載するに至りました。   

2 裁判所の判断

法4条2号(プロ責法)は、損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることを、発信者情報開示請求を認める要件の1つとしているが、
法4条3項が、発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならないと規定していることからすれば、少なくとも、発信者情報の開示請求をしている者に、開示を求めている発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする意図があると認められる場合には、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由はないと解するのが相当である。

そこで検討するに、原告が、発信者に対して損害賠償請求等をする意図を有していること自体は否定しないにしても、上の通り、原告は、自身のブログにおいて、発信者情報を取得した後、探偵等をつかって全てを調べる、晒し者にする、全てを暴露する、名前を世間に公表するなどと繰り返し投稿し、被告からこれらのブログ記事について指摘を受けると発信者情報を不正使用する意図はない旨の陳述書を証拠提出したが、その後も、自身のブログにおいて、発信者の名前を公表する旨の投稿をしているのであり、かかる事実経過に照らせば、原告において、開示を求めている発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする意図を併せ持っているものといわざるを得ない。   

以上によれば、原告には、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとは認められない。 よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから棄却する・・・。



「個人情報晒してやる!」などと言っている人への個人情報の開示が拒まれることなど当たり前と言えば当たり前なのですが、いざ自分が優位な立場に立つと人はこのように勇んでしまうものなのでしょうか。

せっかく権利救済へと努力していても、これでは時間やお金、労力の無駄使いですね。

もしあなたが発信者情報開示請求を受けたのであれば、請求者がどんな人で、どんなことを言っているか、やっているかに着目した反論をするのも一つの切り口です。


現在、発信者情報開示請求を受けた方がプロバイダから受け取る意見照会書への回答書の作成を多くやっております。
詳細は別記事にて公開しています。



回答書をテキトーに自分で作ってしまうことはその後の損害賠償請求訴訟の段階にも暗い影を落とします。
まずは相談してください。連絡先はこちらです。mitsumura@vflaw.net

では!


弁護士の満村です。

ここ数か月の間に発信者情報開示請求についての複数の相談を受けました。

一般論として、本当に不法行為となるような表現なのか疑わしい場合には裁判例などを通して十分な検討が必要ですし、交渉の場で請求されている慰謝料額が相当な額なのかという検討も必要で、やはり応じるべきでない相手方の主張には反論を加えなければなりません

その点、やはりこの問題は弁護士が入らないと難しいところがあるかと思います。

今回は報酬額も含め、僕が弁護士としてどういったことをしているか簡単に紹介したいと思います。

1 プロバイダからの意見照会について

発信者情報開示請求の「発信者」とされてしまった方が最初にそのことに気づくのは多くはプロバイダからの「意見照会書」かと思います。
そこには、あなたがどのサイトで、いつ、どういった内容の投稿をしたかが特定されており、
この投稿について開示を請求されていますよ、ということが書いています(開示を請求されているのはあなたではなくプロバイダです)。

これには「回答書」が一緒についていて、そこに
開示に同意するor同意しない、かどちらかを選ぶ欄があり、同意しない場合にはその理由を書きこみます。これをプロバイダに返送することになります。

ここに書かれた不同意の理由はプロバイダにとって、開示を請求してきている相手方とのやりとりの出発点にもなるものですので、まだ訴訟当事者でない我々にとってもテキトーにあしらうことはできないものになります。

例えば、「同意しない 理由:何が悪いか分からない。あいつが悪いと思う。」
なんて書けば、プロバイダにまともな理由が無いと伝えるようなもので、
せっかく自分の代わりに相手方と対峙してくれているプロバイダを敵に回すようなものです。

この回答書の作成を、裁判例などを調査した上で代わりにやる業務をしています。

これを分量に応じて4万円~5万円(税抜き)投稿数が1件増えるごとに1万円増額でやっています。
この場合、法律相談料はいただきません。

業界平均より安いかどうかは納得感のためにもご自身で調べていただければと思います。

2 示談交渉について

この回答書を出しても、投稿内容次第で個人情報が開示されてしまうことは当然あります。
そうなるとおそらく次は相手方から「あなたの投稿で傷つけられました。示談するには〇〇万円払って下さい」等が書かれた通知書(弁護士が作成していることでしょう)が届きます。

このとき、既に上の「回答書」に書いた不同意理由としてこちらの反論の骨子は提供できているはずなので、ご自身でこの通知書に返答することはできなくはないと思います。

また、回答書作成の料金の範囲で大体の慰謝料額の相場もお伝えするので相手方の言う示談金額が相当かどうかの判断もある程度はできるかと思います(相談時に分かっている情報の範囲内の話にはなりますが)。

弁護士費用これ以上は出せない・・・ということもあると思うのでここからはご自分で対応されることはナシではないかなと思います。
ただ、弁護士がついているか否かで相手の出方も変わり得ますし、相手方の主張を理解できないこともでてくるでしょうから勿論つけていた方が安心です。

この示談交渉については、
着手金10万(税込11万円)~15万円(税込16.5万円)
成功報酬 10万円(税込11万円)
法律相談料 なし

としています。

3 損害賠償請求訴訟について

示談が不成立となった場合は、次は損害賠償請求訴訟を提起されることになります。
もっとも、費用対効果の面で相手方もここまで踏み切るか確実なところは言えません。
と、いうか、相手方(及び代理人)次第では、訴訟はしたくないから示談交渉でごり押ししてくることが想像に難くありません。

ただ訴訟になってしまった場合は、弁護士費用も別途かかってきてしまいますし、訴訟での弁護士費用はその手間やかかる時間からいって、安くても30万円くらいはかかってきてしまうと思います。

ここ最近の例で見たところ、権利侵害の性質として多くは名誉感情侵害(侮辱)が主張されていますから、裁判所で認容される慰謝料額はせいぜい2、30万円多くて50万円とかでしょう(1ケタ万円などかなり低額の裁判例もあります)。
勿論投稿内容や回数などによってはもっと高額になることもありますが。

これに相手方の弁護士費用の一部が損害額としてのってきて(特に発信者情報開示請求の費用)全部で50万円~100万円くらいかなあと思います
発信者情報開示請求の弁護士費用は全額認められるのか一部なのか裁判例でもわかれているので難しいんですが、、ある程度一律の基準が確立されてほしいものです。

で、すでにこちらの反論の骨子が弁護士による「回答書」である程度は分かっている上に、
発信者情報開示請求の本案訴訟で負けているというこの段階(新たな事実主張ができない限り権利侵害性が認められる可能性はそれなりに高い)
でさらに弁護士費用を払うのか、というのは考えてしまう問題だと思います。

勿論、つけた方が安心ですし、弁護士として無責任に「もう弁護士つけなくていいよ!」と言うことはできません。
ただ、弁護士なしの本人訴訟は制度上当然できますし、裁判所とも適宜話し合いながら所定の書式にすでに提供された反論の骨子を書き、「この事実は認める」「これは事実ではない」などと慎重に主張していくことは可能です。

もちろん積極的におすすめはしませんが、弁護士を頼まないのは選択肢としてはナシではないでしょう。

僕が受ける場合は、
着手金 15万円(税込16.5万円)~25万円(27.5万円)請求額や分量により決定
成功報酬 経済的利益(減額幅)の16%
法律相談料 なし


でやります。

4 最後に

今回書きたかったのは以上になります。


誤解もあるかもしれませんが、僕は権利侵害を無理にでも擁護してお金を儲けようなどとは思っていません(この件で儲けるつもりがそもそもありません)。
また、特定の人物や団体への対抗意識でやっているわけでもありません(そんな暇ではありません)。
ただこの件で困る人が増えるだろうなと思って、情報発信や助言等をしていて今に至るというだけです。

やったことはやったことと認める姿勢は必要です。
ただ、人の権利を侵害していないのであれば対抗しましょう。
権利を侵害してしまったのであれば反省しなければなりませんが、法的に正当な範囲で償う術を考えましょう。

この問題にこれまで関わってきた「いち弁護士」として今提供できることについて書きました。
メール、電話、Zoom等でも相談受け付けています。最初の連絡はこちらまでmitsumura@vflaw.net
回答書には期限もありますので出来る限り迅速に対応します。

なお、上でお示しした報酬額や一連の手続きに対する僕の考えについてのお問い合わせには、自分が当事者になったorなりそうという方に限定して対応することとなります。
多忙のためです。申し訳ありません。
上のような具体的な依頼はしないが、相談だけ聞いてもらいたいという方にも対応しています。
その場合、30分3000円(税込み3300円)としています。

では!

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