弁護士みつむらの法律blog

大阪の弁護士です。ネット関連の法律問題(誹謗中傷・知的財産等)や労働関係の法律問題についての発信をしています。

弁護士の満村です!今回はネット上の誹謗中傷でいくら損害賠償してもらえるの?という記事です。
あと、逸れますが投稿頻度保つのはなかなか大変ですね笑 
弁護士としての発信ですし、テキトーな記事は書けないのでどうしてもまとまった時間を必要とするのでね・・・ちょっと大変です(><) 

ではでは、ネット上で誹謗中傷を受けた場合、どのような賠償を受けれるのかですが、①慰謝料(精神的苦痛に対する賠償)、②犯人特定費用(弁護士費用)、③損害賠償のための訴訟費用(弁護士費用)に分けられます。それぞれ下で見ていきましょう!
 

①慰謝料

まずは本丸「慰謝料」です。誹謗中傷を受けてお金を取りたい場合の「お金」はまさにこの慰謝料ということになります。
皆さんはこれいくらくらい取れると思いますか??

はい、実際のところですね、
現状、数十万円~100万円程度が認容される裁判例が比較的多いです。 もちろんこれを下回るケースもあるし、200万円程度認容されたケースもあります。 誹謗中傷の内容や回数、実際受けた影響等によって額は分かれるわけですが、いずれにしても「少し低くないか」と思いますよね。
特に弁護士費用やそれなりの時間を使ってこれです。
被害者が侵害された人格的利益を考えればもっと取れるようにすべきと思っています。
今回、木村花さんの件で、SNS上での誹謗中傷が社会的な議論となった以上、裁判所としてももっと高額の慰謝料を認めていかざるを得ないでしょう。
人が死んでしまうこともある程に深刻な問題なのですから。
僕も弁護士として請求していくに当たっては強気の慰謝料請求を心がけます。

②犯人特定費用

相手が身元のわかっている人であればいいのですが、ほとんどの場合は、匿名の投稿者が相手です。
また次回以降で取り上げますが、現状では、犯人特定には仮処分や裁判をしなければならず、かなり専門的な知識が要求されます。
そこで多くの人や企業は、犯人特定のために弁護士を使いますが、これには少なくない費用がかかります。
しかし、現在の裁判実務においてはこの犯人特定にかかった弁護士費用はその犯人に賠償させることが認められてます。
「複雑で専門的な手続きを一般人が急にやっていくことは実際のところ現実的でないから、支払った弁護士費用までが本件の損害だ」と裁判所も認めてくれているということですね。
これは、慰謝料請求と同じ裁判の中で認容され、あわせて回収していきます。

③損害賠償のための訴訟費用

犯人特定ができれば次は、①の慰謝料請求訴訟をするわけですが、この訴訟も弁護士に別途委任することになります。 ここにも費用がかかります。
しかし、やはりこの費用も裁判の中で相手に賠償させることが認められています。 これもあわせて回収していくことになります。


ここで、ひとつ疑問として「誹謗中傷するようなやつが数百万も賠償できるの?」というのが思いつきますよね。
実際、なかなか難しいケースもあると思いますが、可能な限り回収できるように相手の財産に執行をかけていくことになります。
また、今年の4月から施行された改正民事執行法の制度で、賠償金のような債権の執行がやりやすくなりました。これについてはまた解説記事をあげる予定です。


いくら取れるのかについては大体こんな感じですね。 もちろん、誹謗中傷にあたる記事の削除請求や謝罪広告の求め、刑事告訴という金銭以外の対抗手段もあるので、これらもあわせてやっていくことになります。 削除に要した費用も、当然権利回復には必要ということで、相手に賠償させることが認められています。
次回以降も発信者情報開示請求について書いていきます! チェックしてみてください。

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若い女子プロレスラーがSNS上で誹謗中傷を受け続け自死を選んでしまったという痛ましい事件が発生してから、ネット上の誹謗中傷への対策が社会的急務となっている気がしています。
弁護士としては、社会的責務を果たす意味でもこの問題に可能な限り注力していきたいと思います。
本記事では、皆さんが気になっているであろう「発信者情報開示請求」を実際にするにあたっての要件を解説していきたいと思います!
この請求が通れば、誹謗中傷をした張本人の個人情報を取得でき、損害賠償請求や刑事告訴ができます!

まずは、プロバイダ責任制限法第4条1項から分かる同請求の要件をまとめるとこうなります(用語が難しいですが後でわかりやすく解説します!)
①特定電子通信による情報の流通がなされた場合であること
②当該情報の流通によって自己の権利が侵害されたことが明白であること
③発信者情報の開示を受ける 正当な理由が存在すること
④発信者情報の開示を求める相手方が開示関係役務提供者であること
⑤開示を求める情報が発信者情報に当たること
⑥上記発信者情報を開示関係役務提供者が保有していること
これらを充たせば、誹謗中傷を行う人の情報を取れるわけです!
では、各要件ごとに解説していきますね。

①特定電子通信による情報の流通がなされた場合であること 

「特定電気通信」というのは、「不特定の者により受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義されています。
難しいかもしれませんが、SNSの書き込みがされた場合や、電子掲示板への投稿、また、このようなブログ記事の投稿がされた場合といったことです。
同じ電気通信でもメールの送信は「不特定の者」に対してされるものではないのでこれに当たりませんね。
嫌がらせメールのようなものは大量になされることは考えにくいですし、個別にブロックしてしまえばすみますよね。基本的にみんなが見れるネット上に情報として残ってしまうこともありません。

②当該情報の流通によって自己の権利が侵害されたことが明白であること  

まずは、当然ネット上の書き込みが自分のプライバシーや名誉権等を害するひどい内容のものであることが必要です。
例えば「生きている価値がない」とか 、根拠もなく「あいつは人のものを盗んでいる」とか、または「あいつは〇〇に住んでいるから嫌がらせをしてやれ」みたいなことですね。
企業が被害者であれば、「あの会社は毒入りの食品を売っている」とかになりますね。

これに加えて違法性阻却事由が無いことが必要です。ごく簡単にいうと、言論に公共性があり、公益目的があるような場合は、たとえ権利侵害的表現がなされても違法なものとされません。例えば、記者が政治家の汚職を暴いたところ名誉毀損で訴えられたら大変ですよね。 もちろん真っ赤な嘘なら違法になりますが。

難しいところなので、この辺の詳しい解説はまた別の記事でやりますね!

③発信者情報の開示を受ける 正当な理由が存在すること 

誹謗中傷している人の個人情報を、例えば個人的に嫌がらせをするために入手したり、それを欲しがっている人に売りつけたりする目的で入手しようとすることが認められたらそれはそれで大変ですよね。
これは、正当な権利行使の目的でしか開示請求はできませんよ、という要件です。
具体的には、記事等の削除請求、損害賠償請求、刑事告訴、謝罪広告などの名誉回復措置などの目的で請求することがここでの要件になります。

④発信者情報の開示を求める相手方が開示関係役務提供者であること 

開示関係役務提供者」、これまたよくわからない言葉ですね。
単に、サイト運営者やサーバーの提供者などのことと考えればいいです。
発信者ではなく、発信者の発信の土台を提供している会社ということですね。

⑤開示を求める情報が発信者情報に当たること 

どのような情報の開示を求められるのかということは、プロバイダ責任制限法の発信者情報を定める省令に規定されているんです。ここに規定されている情報以外は今のところ開示請求できません。
その開示請求できる情報は次のとおりです。
 ・発信者等の氏名・名称
 ・発信者等の住所
 ・発信者の電子メールアドレス
 ・侵害情報に係るIPアドレス、ポート番号
 ・インターネット接続サービス利用者識別符号
 ・侵害情報に係るSIMカード識別番号
 ・侵害情報が送信された年月日および時刻

⑥上記発信者情報を開示関係役務提供者が保有していること 

上に出てきた「開示関係役務提供者」が情報を開示する権限を有していて、さらに情報を抽出してそれを開示することが現実的に可能あることとと理解されています。
あまりに多大なコストや時間が係るような場合はこの要件を充足しません。別の請求先を考えるべきということになりますね。

法律相談について 

以上のような要件を充たす場合には、被害を受けた個人が自分で請求することもできます。もちろん法人も請求主体ですよ!
今後、どのような流れでこの請求をしていけば良いかということも記事にしようと思いますが、自力での請求はなかなか大変な作業になってしまいますので、弁護士に頼むことが一般的には推奨されます。
このようなネット上の誹謗中傷について、発信者情報開示請求を検討しているという方の相談を受け付けておりますので、mitsumura@vflaw.netまでメールをいただければと思います。
ではでは。

こんにちは!弁護士の満村です。
昨日のSNSについての初投稿の直後に、若い女性の有名人が亡くなる事件が報道されました。
SNS上の誹謗中傷を気に病んでの自死の可能性が大とのことです。まずはご冥福をお祈り申し上げます。
そして、僕が思ったのは、この事件本当に防げなかったのか?お亡くなりになった彼女はネット上で袋叩きにあって、人格否定にあって、しかも相手は誰かわからないし大勢すぎて反論もできず、「もしかしたら自分は本当にひどい人間なのかもしれない」とどんどん辛くなっていってしまったのではないでしょうか。
もしこの社会の中で「無責任にネット上で人を誹謗中傷するヤツはただの犯罪者だ」という認識がごく普通の一般常識になっていれば、彼女の心の動きは違ったものになっていたかもしれません。
犯罪者に「お前はひどいヤツだ」と言われるのと、ごく普通の常識人に「お前はひどいヤツだ」と言われるのとどちらがこたえますか?

この事件でネット上の発言に対する世間の目は厳しくなったでしょうし、総務省では法改正の議論もされているようです。昨日ご紹介した「発信者情報開示請求」ですね。
次回の投稿でこの制度について、深堀りして解説できればと思っています。

そういえば、「論破」で有名なひろゆきさんが勝間和代さんとの伝説的討論で勝間さんを「論破」したというのは有名なシーンとして語り継がれていると思いますが(勝手に思っているだけかもしれませんが笑)、まさにあのときの議題はネット上の発言についてでしたね。
相手をボコボコにして勝ったのはひろゆきという認識をされていると思いますが、あのときのひろゆきさんの立場は「ネット上の発言の規制って無意味じゃないっすか?」みたいな感じでしたよね。
その考え方自体は再検討の余地がありそうですよね。まあ、勝間さんは「匿名の投稿をできないようにするべき」という主張でしたから、果たしてその策に実効性はあるのか、こちらも考えないとですね。
僕はやはり、開示請求の制度の使いやすさを可能な限り上げていって、みんなが損害賠償請求や刑事告訴(または被害届け)を普通に行える状態にするというのがいいと思っています。
またこの点投稿します!

 

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