弁護士みつむらの法律blog

大阪の弁護士です。ネット関連の法律問題(誹謗中傷・知的財産等)や労働関係の法律問題についての発信をしています。

こんばんは。弁護士の満村です。

ブログを始めてから一週間と数日、ネット関連のことを中心に発信してきましたが、今回は整理解雇についてのお話です。

解雇ならわかるけど、整理解雇って何?と思われた方もいらっしゃるかもしれないですが、以下で解説していきます。

会社で働いている方も、会社を経営されている方にも知っておいていただきたい話です。

はじめに

整理解雇とは、経営不振による人員整理が解雇をもってなされる場合のことをいいます。
横領や度重なる無断欠勤などの労働者の責めに帰すべき事由によってなされる懲戒解雇などとは区別される類型の解雇です。

特に何かしたわけではないけど、会社が傾いていて、ある日突然肩たたきに遭うようなイメージですね。

そして、労働者の負い目が無いからこそ、会社は「経営が苦しいんだから、従業員には今すぐにでもやめてもらおう」と考えてしまいがちです。
しかし、法律上、労働者を解雇するのはそう簡単なことではないのです。

どのような場合に解雇は認められるのか

個別の労働者に対する一般的な解雇と同様、整理解雇についても、これが有効と認められるためには一定の要件が必要です。

それが「整理解雇の4要件(4要素)」と呼ばれるものです。
これについては、これらすべてを充たさない限り解雇はできないという「要件説」という考え方は長くありましたが、最近はこれら4つの要素を総合的に考慮して解雇の有効性を判断するという考え方の方が主流になってきているという傾向があります。
ただ、会社側としては、これら4つの要素をすべて真摯にとらえて慎重に解雇を行っていくべきです。

内容は以下で説明しますが、企業としては整理解雇にはそれなりに高いハードルがあると思って整理解雇に臨む方がいいでしょう。
逆に、労働者としては、急に解雇を言い渡された場合、「それって適法なのか?」と疑ってかかるべきです。
場合によっては、弁護士を頼るなどして自分の権利を守ってください。

整理解雇の4要素とは

(1)まず第1に検討されることとなるのは、人員削減の必要性です。  
 整理解雇は、経営不振等により人員削減が必要であるということを理由としてなされるわけですから、これが要件になるのは、当然のこととなります。  
 もっとも、今は新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的停滞という特別事情があるので、この要素はクリアされるケースが多いでしょう。

(2)次に、人員削減の手段として整理解雇を行う前に、労働者に対する打撃が少ない他の手段(配転・出向、希望退職の募集等)を行っているかが問題となります。  
 解雇回避努力義務の履践という言い方をされます。  
 過去の裁判例を見ると、配置転換・出向、そして希望退職の募集の検討・実施がほぼ必須とされていると考えられます。  
 さらには、現在は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、政府等の各種助成金がうけられるので、雇用調整助成金等を申請し、従業員を休業させるという手段が取れなかったかも重視されるでしょう。   解雇する前に、企業努力としてできる手段は尽くすべきと考えられるからです。
 
(3)また、解雇すべき人員の選定に合理性があることも必要となります。  
 具体的には、勤務地、所属部署、担当業務、勤務成績、会社に対する貢献度、年齢、家族構成等を勘案して人員が選定されることになると思われますが、いずれにしても、恣意的な人員選定は認められず、客観的で合理的な基準に基づいて、公正に人選がなされる必要があります。
 ただし、これらをすべて盛り込むような基準を作るのは困難ですし意義にも乏しいでしょう。  
 最近の裁判例を見ると、「これからの企業経営にとっての貢献可能性」を重視した基準は合理的とされる傾向があるように思えます(参考:東京地裁平成30年10月31日、東京地裁平成27年9月18日)。  
 次のような基準は客観的合理性があるとされやすいでしょう
 →① 休職者基準(休職者を優先して解雇する),② 病欠日数・休職日数基準,③ 人事考課基準(社内でのルールに基づいた評価の高低で人選する),④ 年齢基準。

(4)更に、整理解雇を実施するまでの間に、使用者は、労働組合又は労働者に対して整理解雇の必要性やその具体的内容(時期、規模、方法等)について十分に説明をし、これらの者と誠意をもって協議・交渉を行わなければなりません。
 手続きの妥当性などと言われます。  
 このような手続を全く踏まず、抜き打ち的に整理解雇を実施することは、認められません。
 例えば東京地裁平成24年3月30日では、「① 希望退職の募集に関する事柄,② 希望退職措置の応募状況,③ 人員削減の必要性に関する事柄,④ 稼働ベースの考え方,⑤ 被告が実施した解雇回避措置の内容,⑥ 原告らが提案するワークシェアリング等の解雇回避措置の実施の可否,⑦ 本件人選基準案の内容に関する事柄,⑧ 整理解雇を実施する場合の退職条件等の種々の事情について書面交付や面談などで真摯に説明した上で、想定外の質問に対しても真摯に対応したとして手続きの妥当性が肯定されています。

解雇の未来ー人材流動化社会ー

以上のように、会社が労働者を解雇するのはハードルがかなり高いです。
ただ、日本は労働者を厚く保護しすぎているということが言われることもあります。 
人材の流動化が進んでくれば、日本における「解雇のしやすさ」はどんどん加速していくかもしれません。
会社で働かれている方は、「会社内での自分の評価」よりも「業界内での自分の価値」を高めるように意識しながら日々働かれた方がいいのではないでしょうか。
自分はいつでももっといい会社にでも移れるという状態を作ることが、令和時代のサバイバル術かもしれません。
 
もし、コロナのあおりを受けて急に解雇されたけど納得いかない!という方はぜひ弁護士に相談されることをお勧めします。
別にもうあの会社に戻りたいわけでもない、という方でも、本来貰えるはずだったお金を回収できるかもしれません。

法律相談は、mitsumura@vflaw.netまで!
 では!

弁護士の満村です!
今回は発信者情報開示請求の手続きの流れを解説します。
この請求には複雑かつ込み入った手続きが必要で、けっこう費用も高くつくと言われている所以もわかるかなと思います(弁護士がぼったくりをしているわけではないということもです笑)。
あと、発信者情報開示請求の改正法施行を待って手続きに入りたいと思っておられる方がけっこうおられるのではないかと思いますが、それでは間に合わないケースもあることも分かるような内容になっているかと思います。 
 

ネットの仕組みを簡単に解説

皆さんは、例えばこうやって自分でブログの記事を書いて公開するとき、どういう手順でみんなが自分の書いた記事を見られるようになるのだろうと考えたことはありますか?

まず、インターネット上にある文章や画像などのことをウェブページと呼びますが、このウェブページは世界のどこかにある特定のサーバーコンピューターの上に乗っかっています。
そして、ある文章や画像を見たいという人は、URLを指定してこのサーバーコンピューターにその文章や画像のページを渡せと指令し、これに対して、サーバーコンピューターがその指令通りのものを提供しているのです。
逆に発信側としては、サーバーコンピューターに「この記事を加えておいて」と指令して、サーバーコンピューターが指令通りその記事をウェブページに加えることによって、みんながその記事を見れるようになります。
もちろん、実際に発信者の目に見えている世界は、所定の位置に文章を書いて、「投稿」のようなボタンをポチっているというものだけですけどね。

閲覧側にしても、発信側にしても、スマホやPCという端末からインターネットに入りサーバーコンピューターに上記のような指令を出すわけですが、このインターネットの通信を手助けしてくれる存在が(アクセス)プロバイダーということになります。

色々言ってきましたが、
ごく簡単に図解すると以下のような感じでしょう。

発信側端末   
 ↓
プロバイダー   
 ↓
サーバーコンピューター   
 ↓
プロバイダー   
 ↓
閲覧側端末

この中で、発信者の個人情報(住所・指名)を持っているのが、プロバイダーです。NTTとかですね。
基本的にtwitterや2ちゃんねるのようなサイト運営者はこの情報をもっていません。

ただ、サーバーコンピューターには、発信者の足跡のようなもの「アクセスログ」が残っていて、このうちどの端末から指令を受けたのかわかる「IPアドレス」の情報はサイト運営者が把握できています。
そこで次のような手続きをしていくことになるのです。

手続きの流れ

まずは、誹謗中傷や脅迫などが、どのサイトで行われたか確認します。 当然ですね。
ここで出来る限りの証拠を保存し、そのサイト運営者に対して、上記のIPアドレス等のアクセスログの開示を請求します。
具体的には、裁判所に発信者情報開示請求の仮処分を申し立てることになります。
裁判所において、サイト運営者の言い分も聴きながら、こちらの言い分が認められれば、サイト運営者からIPアドレス等のアクセスログの開示を受けます。

IPアドレス等のアクセスログがわかれば、プロバイダーが判明するので、次にプロバイダーに対して本案訴訟にて発信者の情報の開示を請求するのです。
なぜ、仮処分と本案訴訟で使い分けているのか、ということは難しい反面、知らなくても全体の流れは理解できますからここでは捨象します。
とにかく、発信者の情報をゲットするまででこのように2回の訴訟手続きをしなければならないということを理解いただけるといいと思います。

そしてそして、ここまで来てようやく、発信をしていた犯人を特定でき、損害賠償請求や刑事告訴等の措置が取れるのです。

損害賠償請求についても相手が観念して任意にお金を払わない限り訴訟となりますね。
そうなると一人と戦うために合計3回の訴訟をすることになります。
ちょっと、とほほ・・・と思いますよね笑
でもそれでも戦っている人は多くいるんです。
ここまでしたくない方はサイト運営者に「削除請求だけする」という選択もあります。 これだと費用も時間もそれほどはかかりません。

改正の議論がある!?そこまで待つべき?

皆さんご存知と思いますが、発信者情報開示の制度は現在、総務省で改正の動きがあります。
おそらく上のような複雑な手続きが簡略化され、費用も時間も今ほどかからなくなるでしょう。
望ましい改正です。
ただ、まだ議論は始まったばかりというのが現状で、新制度についての第1回会合が今年の4月にあり、次が6月4日とのことです。
急ピッチで法案成立までいったとしても、法律の施行(効力発生)までは期間を開けますから、結局のところ新制度開始というのは早くて来年の今頃とかではないでしょうか
もちろんどうなるかは流動的です。
そうなると、新制度を待つと、多くのサイト運営者やアクセスプロバイダーからは「もうアクセスログは消しちゃいましたよ」と言われると思います。
アクセスログの保存期間は法定されておらず、半年そこらで消去しちゃうんですね。
もちろん業者によりますが。
なので、「確実に同じような誹謗中傷が一年後二年後にもされ続けるだろう」という人でないと、新制度には乗っかれないのですね。
どう動くかはあなた次第です・・・。

今回の記事はここまでです。
発信者情報開示請求シリーズは一旦ここまでにしようかと思います。
同制度が適切に改正され、利用がどんどん進み、ネット上の誹謗中傷による被害がこの日本からなくなる未来を信じて、みなさん、頑張っていきましょう!

これから暮らしに役立つ情報やこのような法律知識を発信していきます。
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弁護士の満村です!今回はネット上の誹謗中傷でいくら損害賠償してもらえるの?という記事です。
あと、逸れますが投稿頻度保つのはなかなか大変ですね笑 
弁護士としての発信ですし、テキトーな記事は書けないのでどうしてもまとまった時間を必要とするのでね・・・ちょっと大変です(><) 

ではでは、ネット上で誹謗中傷を受けた場合、どのような賠償を受けれるのかですが、①慰謝料(精神的苦痛に対する賠償)、②犯人特定費用(弁護士費用)、③損害賠償のための訴訟費用(弁護士費用)に分けられます。それぞれ下で見ていきましょう!
 

①慰謝料

まずは本丸「慰謝料」です。誹謗中傷を受けてお金を取りたい場合の「お金」はまさにこの慰謝料ということになります。
皆さんはこれいくらくらい取れると思いますか??

はい、実際のところですね、
現状、数十万円~100万円程度が認容される裁判例が比較的多いです。 もちろんこれを下回るケースもあるし、200万円程度認容されたケースもあります。 誹謗中傷の内容や回数、実際受けた影響等によって額は分かれるわけですが、いずれにしても「少し低くないか」と思いますよね。
特に弁護士費用やそれなりの時間を使ってこれです。
被害者が侵害された人格的利益を考えればもっと取れるようにすべきと思っています。
今回、木村花さんの件で、SNS上での誹謗中傷が社会的な議論となった以上、裁判所としてももっと高額の慰謝料を認めていかざるを得ないでしょう。
人が死んでしまうこともある程に深刻な問題なのですから。
僕も弁護士として請求していくに当たっては強気の慰謝料請求を心がけます。

②犯人特定費用

相手が身元のわかっている人であればいいのですが、ほとんどの場合は、匿名の投稿者が相手です。
また次回以降で取り上げますが、現状では、犯人特定には仮処分や裁判をしなければならず、かなり専門的な知識が要求されます。
そこで多くの人や企業は、犯人特定のために弁護士を使いますが、これには少なくない費用がかかります。
しかし、現在の裁判実務においてはこの犯人特定にかかった弁護士費用はその犯人に賠償させることが認められてます。
「複雑で専門的な手続きを一般人が急にやっていくことは実際のところ現実的でないから、支払った弁護士費用までが本件の損害だ」と裁判所も認めてくれているということですね。
これは、慰謝料請求と同じ裁判の中で認容され、あわせて回収していきます。

③損害賠償のための訴訟費用

犯人特定ができれば次は、①の慰謝料請求訴訟をするわけですが、この訴訟も弁護士に別途委任することになります。 ここにも費用がかかります。
しかし、やはりこの費用も裁判の中で相手に賠償させることが認められています。 これもあわせて回収していくことになります。


ここで、ひとつ疑問として「誹謗中傷するようなやつが数百万も賠償できるの?」というのが思いつきますよね。
実際、なかなか難しいケースもあると思いますが、可能な限り回収できるように相手の財産に執行をかけていくことになります。
また、今年の4月から施行された改正民事執行法の制度で、賠償金のような債権の執行がやりやすくなりました。これについてはまた解説記事をあげる予定です。


いくら取れるのかについては大体こんな感じですね。 もちろん、誹謗中傷にあたる記事の削除請求や謝罪広告の求め、刑事告訴という金銭以外の対抗手段もあるので、これらもあわせてやっていくことになります。 削除に要した費用も、当然権利回復には必要ということで、相手に賠償させることが認められています。
次回以降も発信者情報開示請求について書いていきます! チェックしてみてください。

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